AIの革命: ネイティブの教師v.s.人間の教師

AIは言語の意味を理解することで、人間の多くの業務を代行できる時代になりましたが、その物事に意味を持たせるのは人間しかできないのです。

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AIの革命: ネイティブの教師v.s.人間の教師

AIは言語の意味を理解することで、人間の多くの業務を代行できる時代になりましたが、その物事に意味を持たせるのは人間しかできないのです。

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AIはすでに語学学習のあり方を加速させている

スマートフォンに搭載されているヘルス系アプリやPokemon Sleepのような、歩数や睡眠時間を追跡するアプリの登録者数が数千万人を超えているのを見れば、我々は目標を達成するためにはデータを必要としていることが分かります。語学学習も例外ではありません。

語学学習において、従来では自習活動から人の言語を分析することは可能でしたが、会話のような有機的な状況では多くの課題がありました。しかし近年、AIを駆使することで受講者の発話データをリアルタイムで収集できるようになりました。現在では、適切なデータにアクセスさえすれば、AIがこれらデータを元に様々なインサイトを提供できるまで発展しています。

EF Education Firstでは、毎日5,000時間以上のオンライン授業を配信しており日々多くのデータを分析できるアセットを保有しています。当社のBtoB部門であるHult EF Corporate Educationの学務部長 David Bish博士は「これほどの規模のデータセットを持つことで、AIは受講者の長所と改善点を特定し、グループレッスンで誰が最もよく話し、誰が受け身になっているかを測定し、"重要な学習インシデント" (生徒が突然何かを理解し、 "アッ!"とひらめく瞬間)にフラグを立てることができます」と話します。

我々はAIを駆使して人間のスーパーパワーを強化する

Tim Hesse, VP of AI & Analytics at EF EdTech

当社は受講者だけでなく、教師陣の言葉遣いもモニタリングしており、研修を提供するプロバイダーとして品質管理も行っております。レッスンの流れを分析することで、当社のEdTechチームにてAI&分析の責任者を務める Tim Hesseは「コンテンツの最適化をしてより品質の高いレッスンを提供することが可能になります。我々はAIを駆使して人間のスーパーパワーを強化します。」と話します。

教師陣においても、AIは授業計画や採点などの作業を加速させることで、膨大な時間短縮に貢献できています。AIを駆使した採点の例として、先日ローンチしたEFSET360があります。EFSET360はReading、Writing、Speaking、Listeningのスキル評価を通常教師が採点する際には2日ほどかかるところを即座に結果を出すことが可能になりました。

EF EdTechにてクリエイティブ・デザインの担当VPである Tim AckroydはAIが受講者の授業をパーソナライズできる可能性があると述べています。また彼はレッスン外でのさらなる可能性を指摘しています。受講者のニーズが一番高いスピーキング力を向上させる最も効果的な方法は、授業であっても日常生活であってもその環境に入り込むことであることは誰しもが思うことです。「人間と会話している感覚にすごく近いAIツールが誕生した」とAckroydは言い、それを「AIによる自習の進化」と呼んでいます。

AIによって我々は受講者の自習環境を充実させることができ、教師陣はより受講者ファーストの授業を提供することができるようになります。24時間利用ができるという利便性を考慮すると、教室内外でAIが果たせる可能性は遥かに大きいものになると考えます。

完全に不完全なデータセット?

AIはルールに基づくものなら何でもこなすことができるので、間違いなくどんな言語でも対応することができます。しかし、アメリカ人が秋を「fall」と言うのに対し、イギリス人が「autumn」と言うこと、シェイクスピアの英語が今日の私たちの話し方と大きく違って聞こえるなど、言語というものはルールに固定されたものではありません。言語とは性質上、常に流動的なものであり、人間主導のプロセスで変化を続けるものであります。AIは本当にそのニュアンスの幅を完全に捉えることができるのでしょうか?

私たちは何十万時間もの音声データを分析することができるようになりました。

Tim Hesse, VP of AI & Analytics at EF EdTech

インタビューの中で Tim Hesseは「私たちは何十万時間もの音声を分析することができるようになったため、システムを使って非常に細かい粒度で受講者の能力を分析して評価することが可能です。 正確な量としては、EFのプラットフォーム内で録音された20万レッスン分のデータです。そして、それは受講者から得たものであるため、良い意味で『不完全なもの』です。そのため、私たちはこの膨大な量の言語をそれぞれ照らし合わせて測定し、受講者が実際の英語話者に対する自分の長所と短所を理解することが可能になります。」と語ります。

またTim Hesseは以下のように述べています。
「もうひとつの優れた点は、いかに地域的に公平にするかということです。」

ヨーロッパ言語共通参照枠『CEFR』で定義されているレベルは非常に幅広いものですが、AIを使えば、より詳細な分析が可能になります。

さらにTim Hesseは「ある地域で流暢さが意味するものは他の地域とは異なるので、例えば中国、ブラジル、スウェーデンの学生を、その地域の人々(例えば日本)と比較するベンチマークができるのです」とまとめています。

AIが言語学習を加速させる6つの方法:

  1. 授業中のスピーチをモニタリングし、学習の鍵となる瞬間を知らせる

  2. 自習用のインタラクティブなロールプレイ

  3. 自分と他の地域の受講者との比較

  4. EF HelloにてAIを搭載したチャットボットを使い受講者のサポート

  5. 教師がレッスン用に作成するコンテンツをよりパーソナライズさせる支援

  6. 教師陣の品質保証

しかし、このような技術的能力があったとしても、言語に対して考慮すべきことは語彙や文法だけではない。場所によって異なる意味を持つジェスチャーや表情はどうでしょうか?また、社会言語学的態度、つまり私たちが選ぶ言葉や文法、発音が、年齢や性別、社会・経済的背景などの背景を元に、私たちのアイデンティティとして出す特性をどう理解させるのでしょうか?このような目に見えにくい要素は、私たちのコミュニケーションに組み込まれ、言語や、さらには地域によってさえも異なります。

David Bishは「ロボット/AIにはパスポートも文化遺産もない。」といいます。人間は依然としてコミュニケーションとコミュニティという文化を重要視するものです。またDavid Bishは下記ように述べます。
「受講者は国際会議に参加しているかのような感覚で世界中の様々な人と繋がりたいと頻繁にフィードバックをいただきます。そのような機会を通して個々のビジネスシーンで実践したいと思われているのです。」

AIはスピードを極めることができるが、人間のように学習する必要はない

AIは一時も休むことなく言語パターンを吸収することができるが、それは実際に言語を習得するという人間が苦労するプロセスを必要としないことを意味します。これは、第二言語を習得した教師が、「ネイティブ」スピーカー以上に受講者に教育できるということです。

「言語学習は(人間にとって)骨の折れるプロセスです。より本気で挑むには自身の行動や特性をある程度変えなければなりません。そのためには受講者が安心してリスクを取れる環境が必要なのです」とDavid Bishは言います。そしてそのためには、感情的知性、つまりジェスチャーや表情、その他の些細な行動を解釈する能力が必要となるのです。

AIが受講者に提供できるのは、「実践に入る前に自信をつけるための安全な空間です。AIと対話するときと、人間と対話するときの違いを明確にすることが本当に重要だと思います」とTim Ackroydはいいます。

「AIが最もうまく機能するのは、教師をサポートするときだ」とDavid Bishは言います。また彼は「語学の授業では、私たちは人間との対話を優先します。人間に取って代わるどころか、実際にはもっと教師が必要なのです。それはマンツーマンレッスンと教師との高いタッチポイントが重要だからです。」と述べています。

最終的に、教師の重要な要素は、受講者の期待値をコントロールし、フィードバックを提供し、信頼を確立する「社会的プロセス」を持つことです。「私たちはAIと3分間の会話をしますが、AIに授業をコントロールさせようとは思っていません。AIは受講者の間違った行動を見つけることができますが、それは教育学的スキルと結びつける必要があるのです。」とDavid Bishは言います。

その教育学的スキルとは、学習者が優しい励ましの言葉を必要としているのか、それとも自分で何かを解決するために一人でいられる時間や空間が必要なのかを理解すると言ったことです。AIは、ただ効率的な副操縦士のように、教師が適切なタイミングで適切なコンテンツを提供し、学習を促進させられる手助けをするものであります。

説明責任という力

上記で現在のAIが貢献できるポイントを紹介しましたが、だからといって、AIの役割は文法や語彙のサポートだけで終わるわけではありません。「私たちは、受講者がレッスンと次のレッスンの合間に学んだ内容を即座に実践できているわけではないことに気づきました。」とDavid Bishは言います。習熟へのルートが直線的でない場合、モチベーションを維持するのは難しいのです。

そこでAIが登場します。EFのAIシステムは、没入型オンライン・レッスンのパフォーマンスに基づいて、文法から個人の自信に至るまで、人々の言語スキルに関する詳細なデータ インサイトを生成する機能があります。「生徒が少しずつ上達していくのを確認できるようにすることは、努力が実を結んでいることを定期的に示すのにとても重要です。例えばBMI(肥満度指数)をベースに、何が健康で何が不健康かを示すのに似ています。このような結果は、受講者が自分の成績や学習行動の効果を理解するのに大いに役立つのです。」とTim Ackroydは言います。

そして、共に進む仲間がいるように、説明責任は長い道のりを歩むことになります。「最近の研究で、人間の教師のレッスンを受けると、その人を困らせたくないので、AIとのレッスンよりもその約束を守る可能性が高くなることがわかりました。この社会的感情関係こそが、言語学習をうまく機能させるのです。」とDavid Bishはまとめます。

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